【4号刀】
姿形は慶長新刀の短刀姿ですが刃長が1尺を超えている。寸伸び短刀である。
すなわち身幅広く重ね厚く寸が伸びている。 慶長期には片切刃、冠落などいろいろな短刀が作られた。この寸伸び短
刀は國廣の来国光写しである。
幅広で鎺元から水かげが出て、そこから映りを出している。刃紋は浅いのたれに互の目があり、地金は大板目で地沸え、地景が入りザングリとした肌となっている。
國廣は様々な写し物とやっている。貞宗写し直江志津写し、正宗写しなど。國廣の堀川打ちはいろいろな作風があり、代作が多い。堀川物で直刃から出羽大掾国路の札があった良い観方である。
また同じく堀川物で直刃から平安城弘幸の札もありました。
【5号刀】
姿から新々刀の担当である。沸出来の柾目の直刃から月山貞一、水戸の勝村徳勝の札があった。
大慶直胤にも天保5,6,7年頃に沸出来の直刃はある。仙台国包や会津兼定の札もあったが、彼らの作品にはこれほど、沸えがつかない。
左行秀は清水久義の弟子であり、清水義久は細川正義の弟子。この三名は繋がっており、いずれも直刃をやっている。
清磨に次いでうまいのが左行秀で、新々刀には水心子や直胤もいるが、左行秀は名工である。
左行秀の銘は同年同月日でも鏨の使い方が違うので偽物が多く注意を要する。
【執筆:塾生・川端友二】
所感
助次を拝見して「ちりめん肌」の呼称はちりめん織りが連想され、ポンポンと表れている黒澄んだ肌を「澄肌」と呼称し、刀剣学は文学的に豊かな言語が使われています。実見された塾生は特徴を理解し正解でした。
古青江の特徴が顕著に現れた名品です。
【執筆:霜華塾代表・山田】
|