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霜華塾 新着情報

2019/12/01 霜華塾 霜華塾についてはこちら

令和元年12月1日(日)、晩秋の紅葉美しい入鹿池の辺りの「入鹿の里」にて第6回霜華塾が開催されました。
快晴に恵まれて15名の会員が集い、冥賀先生にお持ちいただいた6振りの名刀を心ゆくまで鑑賞させていただきました。

各御刀については次の通りです。
1号 短刀 「吉光」 重要刀剣
2号 長巻直し
脇差
無銘「基光」  
3号 「相州住正廣」 重要刀剣
4号 「備州長船忠光作
明応八年十二月日」
5号 「兼音」  
6号 短刀 「清人/安政六年二月日」

【1号刀】長さ約25cm 反りなし幅広く三つ棟  表に素剣、裏に腰樋に添え樋 鍛えは板目 に沸映り鮮明に立つ刃紋は直ぐ刃調に小乱 れ交え、刃肌立ち金線砂流ししきりに入り 、帽子は小丸に品良く返る。 先生の解説では、来や新藤五の札もあり。 吉光は短刀の名手。板目に沸つき梨地肌 が多いが「京の刀展」でも国宝「後藤藤四 郎」も肌立ちごころであり、吉光=梨地肌 ではない。姿も幅広で詰まった感じで親の 國吉に似た姿で、色々な作風がある。 彫りは表裏同じ物が多く彫りが棟に寄るの が粟田口の特徴。来國光、来國次の札も悪   くない。沸映りがよく立っている。との事 でした。

【2号刀】大磨り上げ。長さ47.0cm 反り0.8cm 身幅広く鎬高く庵棟 板目に杢目肌立ち地 景入り地沸つき 腰開き、片落ち風互の目 ややこずみ、足、葉入り、帽子倒れ気味、   裏尖り返る。先生の解説は長巻直し。但州 國光、義景の札が多い。兼光札も2名。 古鞘書は兼光だが重要刀剣では基光極めで   兼光より作位が少し及ばないところから。 地鉄を見ると相伝備前。義景、長義等との 事でした。

【3号刀】長さ約62cm反り約2.5cm 身幅、元先、 重ね頃合い 三つ棟 中切先少し延び 表 に梵字に草の剣巻龍、裏に梵字に独鈷杵の 重ね彫り 鍛え板目 小沸出来の皆焼、帽 子は乱れ込んで返る先生の解説は、3号刀、 4号刀、5号刀の共通点は片手打ち、先反り、 鎬を盗む点。鎬を盗むのは室町時代約200年 間の中で、永享からその傾向が現れ、寛正、 明応頃 から永正頃まで。帽子は焼きが深く 、返りが深く棟焼きになる。古い時代の棟 焼きは来、延寿、長谷部など。綱廣は時代 が下がり匂出来になる。これは小沸出来。 末相州 の彫りは重ね彫りで鎬筋を中心に彫 り、独 鈷の先が角張る。これは東海道筋の 特徴で村正、島田なども。備前は丸味。

【4号刀】長さ約61cm、反り約2.5cm 身幅頃合 い、元先幅差つき、重ね厚く、鎬を盗む板 目よく詰み地沸つき 直ぐ刃調に足、葉入 り、小沸つく 帽子は直ぐに小丸に長く返 る。先生の解説は、殆ど末備前札だが、小 太刀と見て来札もあったが来は鎬を盗まな い。映りもあり、地鉄がいいのが忠光。 応永の札はよろしくない。との事でした。

【5号刀】反り約2.0cm 身幅、元先幅、重ね頃 合い 庵棟腰樋丸止め 鎬を盗む 鍛えは 板目、白け映り立つ のたれに互の目、小 丁子交え匂い出来 帽子は乱れ込んで返る。 先生の解説は、一見すると末備前に入れた い刀。のたれに複式互の目から祐定の札な ど。重ねは関に比べて備前の方が厚い。地 鉄は鎬地の柾が強い。水影風に白け映りが 立つ。樋は後樋でオリジナルではない。 4名が一の札で兼定札は見事。兼音は兼定と の合作があるくらい。また尖り心もある。 との事でした。

【6号刀】長さ約29cm、反り約0.3cm 身幅やや 広く重ね厚く庵棟 フクラ枯れた姿 小板 目詰み地沸つき沸映り風立つ 足の長い互 の目丁子、二重、三重の金線が足を切る  帽子は尖り裏は地蔵風に返る。先生の解説 は、これは清麿に近い出来。清人は柾鍛え が多く帽子が掃きかけ心で、直刃に重要刀 剣が多い。この刀には帽子の掃きかけはな い。師の代作代銘で注文に応じている。 清麿はいい男で酒好きで中気になったと思 われ、嘉永7年11月14日に自刃。42歳没。 佐久間象山に感化され狙われた説もある。 嘉永2、3、4年は覇気があるが、嘉永6、7 年の作は互の目が大きくなり、この刀も互 の目が大きい。清麿、正雄札もあり。頭の 丸い大きな互の目は清人。との事でした。

【執筆・塾生:川嵜太久馬様】

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2019/08/25 霜華塾 霜華塾についてはこちら
1号刀 短刀 銘:吉光
姿 本品はどちらかというとずんぐりした形。父、粟田口国吉にはこのような形が多い。
地金 吉光には梨地肌と肌立ち心のものと通り。
刃紋 直刃を基調にしている。ハバキ元に小豆状の互の目を焼く手癖があるが本品のようにそれがないものもある。
三つ棟を基本にしている。
彫り 粟田口一派は表裏同じ。棟寄りに彫る。彫り物が多いのが特徴。
来国次という札があったが、国次なら焼き幅がもっと広いはずである。日本刀の刀工約3万人いるがその中の3名人(正宗、郷義弘、藤四郎吉光)の一人。藤四郎吉光には大刀は3点ほどしかないが短刀は多い。

2号刀 太刀 銘:備州長船倫光
姿 長寸で豪壮な太刀姿。ハバキ元踏ん張りがなく、3寸から4寸磨り上がっている。オリジナルは南北朝の姿。
地金 映りがよく出ている。
彫物 片落ち互の目で逆がかったようなところがある。
3号刀 大刀 銘:相州住綱広
姿 長寸(2尺4寸)で幅広、切先が伸び心。反りが深い。先反りが強く、元先の差が少ない、慶長新刀の直前の姿。末古刀。
刃紋 皆焼。末古刀の皆焼はどこの刀工も行っているが、応永以降一貫して皆焼をやっているのは相州物のみである。
島田義助という札がありましたが、義助なら砂流しがあるはずである。

4号刀 短刀 銘:備前国住長船清光・天正5年銘
姿 重ね厚く、一般的な鎧通しの姿。末古刀。
地金 映りが出ていて、どちらかというと肌立ち気味の地金。
刃紋 直刃。ほつれあり。匂い出来の備前伝。
末備前 期間的には応仁の乱から天正18年の吉井川の氾濫で備前千軒といわれた刀工の町が壊滅したときまで約123年間をいう。よって慶長新刀には備前物がない。末備前には重要文化財3点、重要美術品11点がある。代表的な刀工は勝光、宗光、忠光、則光、春光、清光そして祐定など。応仁の乱頃は刀の長さが2尺ほどで一番短く、これ以降、寸が伸びていく。短刀も同様で寸が伸びていく。刀は打ち刀で一般的には短いが、2尺5寸から2尺5寸5分という様な長いものもある。侍大将が指した物であろう。短刀には、武士の需要に沿った鎧通しや両刃の短刀(馬手差、右手差)などもある。
末備前
の短刀
重ねが厚い物は鎌倉時代にもあるが、末備前はフクラが枯れていて、中心が長い。南北朝期の物は長寸の割に中心が短く帽子の返りを深く焼く。
5号刀 大刀:大慶直胤
姿 反りの浅い元先の幅の差がある寛文新刀の姿であるが、重ねが厚く重たい。後述の地肌などを見ると新々刀である。
地金 小板目がよく詰んでいていわゆる新々刀特有の鏡鉄で、ナメクジ肌のところがあり、ハバキ元には映りが出ている。鏡鉄で鍛接目が出たいわゆるナメクジ肌のようなところがあり、映りも現れている文化文政頃の復古刀の特長を持つ。復古刀は、重ねが厚く平肉は薄いのが特長。
刃紋 やや逆がかった片落ち互の目風のところ(指し裏)があり、丁子の足が刃先に抜けている。(新々刀の特長)
新々刀で片落ち互の目という事から、水心子の札がありましたが、水心子の片落ち互の目はもう少しこずむはずであり、互の目が2つずつ揃っていて小さい。運寿是一という札がありましたが、運寿是一ならもう少し時代が下がる。

【執筆・塾生:川端友二様】

毎回、茎(なかご)が開くたびに赤面しています。開塾以来のキャリアだけ長い劣等生の小生ですが、毎回、出会う大名刀を手にするたびに益々刀の魅力引き込まれています。また、今回先生の末備前 の説明は、長い間のもやもやをスッキリと教えていただきました。霜華塾は早や20年を迎えましたが一歩でも前進出来るように努力したいと思っています。

【執筆・塾生:兵藤政信様】

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2019/07/21 霜華塾 霜華塾についてはこちら

長引く梅雨の中、今年4回目の霜華塾が開催されました。
心行くまで名刀を鑑賞する事が出来ました。

鑑定刀
1号 無銘 行光  
2号 太刀 談義所西蓮  
3号 太刀 備州長船住景光  
4号 長巻直し 折返銘:伝近景 貞和五年  
5号 津田越前守助広  

1号刀:鎬地広め手持ち重い。地鉄板目流れ地景入る。刃文直刃調、刃中良く沸え、金筋砂流し縦に働き 、鋩子焼詰め風。一見、当麻とも見えるが、地鉄精良で地景著しく、刃中、金筋、砂流しの働きの良さからなるほど行光極めの方が妥当であると思いました。

 

2号刀:長寸、生ぶの太刀姿、地鉄大きく肌立ち流れ、白け心あり、刃文直刃、刃縁ほつれ、二重刃がかりうるみ心、鋩子乱れ掃きかける。現存まれな刀工で、九州物の古典的作風を示している。波平のご入札があり、良い札とのコメントがあり。

 

3号刀:反り高く、太刀姿、地鉄板目つみ、棒映り立つ。刃文直ぐ刃調に逆足入り、匂口締まり鋩子三作。腰元に草倶利伽羅の上半が現れている。彫以外は典型的な作で当たり多かった。この時代の棒映りは地の中央付近に出るとのこと、応永備前は刃のすぐ上に。

 

4号刀: 長寸、大切っ先の迫力ある姿、地鉄板目つみ乱れ映り立つ、刃文小互の目に丁子交じりやや小模様であるが華やか、鋩子刃文のまま乱れ込む。一見、義景風。年紀の逆鏨の書体より近景と極められている。

 

5号刀:若干反りのついた延宝姿、地鉄小板目つむ。刃文短く焼き出しやや小模様の涛欄風乱刃、鋩子小丸に返る、よくつんだ精良な地鉄と明るく、冴えた涛欄刃より素直に助広と見るべき物と思います。また。短い焼き出しは助広の特徴と思います。

今回は、名刀揃いの豪華な鑑定刀を用意して頂き有難うございました。また、めったに見られない西蓮を手にする事ができ、大変勉強になりました。重ねてお礼申し上げます。

【執筆・塾生:青山篤志様】

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2019/05/19 霜華塾 霜華塾についてはこちら

5月も中旬となり日中汗ばむ陽気とりました。
さて、令和元年初回となる霜華塾が開催されました。
出題刀は素晴らしい名刀で観賞・入札を行いました。

鑑定刀
1号 太刀 五条 国永  
2号 太刀 古伯耆 真景  
3号 脇指 越前康継 初代  
4号 脇指 助廣  
5号 脇指 和泉守国貞  

1号刀:国永在銘の太刀で、現存が数振りと伝う。大変貴重な太刀でした。優雅な姿に沸え移り、地斑映り立ち、小沸できの刃文に二重刃風の飛び焼き等、古京物の特徴を捉えた一の札で当りの方もいました。

 

2号刀:古伯耆と云う大変珍しい太刀でみなさん苦労されておられましたがこれを一の札で当りを取られたベテランもいまして大変感心しました。

3号刀:南北朝の相州伝皆焼を写した康継の脇指でした。初見のかたには難しい出題刀でしたが康継は、このような写しものが有るとの解説がありました。

 

4号刀: 二字銘の助廣で地鉄が特に素晴らしくこの様な地鉄は助廣及び助直にあり、他の刀工には皆無との事で改めて助廣の素晴らしさが理解できました。

 

5号刀:脇指 和泉守国貞
所謂道和銘の脇指で地刃明るく冴え、沸えの美しさが真改の代作か親国の晩年作か現在確認されていないと解説ありました。

 

最後に今回も名品をお持ちいただいた講師には厚く御礼を申し上げます。

【執筆・塾生:小島利春様】

 
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2019/04/21 霜華塾 霜華塾についてはこちら

新緑の季節となり、犬山城も大勢のひとで賑わっているようです。
さて、今回は新々刀について勉強致しました。

鑑定刀
1号 水心子正秀 銘 正秀 花押 (寛政五年)
2号 水心子正次 銘 藤原正次 花押 (天保八年)
3号 細川正義  銘 作陽士正義 (天保十年)
4号 栗原信秀  銘 平信秀 (元治元年三月日)
5号 固山宗次  銘 備前介藤原宗次 (元治元年八月日)

新々刀は約100年位で凡そ三期に分けられます

第1期は写し物
第2期は復古刀
第3期は勤皇刀

新々刀には、肌物と無地鉄(鏡鉄)の二通りの肌があります

 

今回の鑑定刀の一号刀・三号刀は写し物です
一号刀は肌物で金筋砂流しかかり、皆焼風の相州伝正秀と極めるポイントは、直ぐ焼き出しで、正秀の手癖とも云えるところです

鑑定刀の四号刀・五号刀は勤皇刀です
勤皇刀とは、別称天秤棒と云われる様な姿で--幅広で長寸、反り少なく切っ先延び重ねが厚い刀です
四号刀の信秀の地鉄には二通りあります
肌物はにえ出来の刀、今回の刀は地鉄が綺麗で、匂い出来で丁子の足が良く入る

新々刀は個人的には解かりづらく難しいのですが、会員の方には、100点満点の方もみえました。
私も先生に鑑定のポイントを教えて頂き、精進していきたいと思います。

【執筆・塾生:臼井秀一様】

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2019/01/20 霜華塾 霜華塾についてはこちら

平成31年第1回霜華塾が1月20日に開催されました。
新年の懇親会で「飛騨牛&あわび会席」を頂いた後に、鎌倉時代から江戸時代までの、お正月に相応しい名刀を鑑賞しました。

鑑定刀
1号 短刀 吉光(重要刀剣)  
2号 太刀 真利(重要刀剣)  
3号 太刀 助國(重要美術品)  
4号 丹波守吉道(特別重要刀剣)  
5号 (太刀銘)作陽幕下士細川正義/
天保十一年八月日
 

1号刀:約24cm、反りなし。表に素剣、裏に腰樋に添え樋。相州伝。2名が一ノ札で当たり。他行光、則重、新藤五の札。無反り三ツ棟から鎌倉期。国宝「厚藤四郎」などは相州伝で板目流れ心、地沸、地景、金筋、砂流し入る。吉光は作域が広い。こういう作風もあると覚えておいてほしいとの事でした。

 

2号刀:約75cm、2.5cm。一文字派。難しくはない刀。光忠札もあったが一文字に比べて地鉄が抜群に良く、働きも多い。長光札もいい見方。元先の幅差開き鎌倉中期から少し下った時代で、物打ち辺もやや寂しい。

3号刀:約74cm、3cm(国分寺)助國。健全で手持ち重い。伊藤博文公所持で助國では日本一。鎌倉中期を少し下った頃。見所は板目に杢目、地斑映り立ち、物打ち辺は地斑が低い暗帯部でこれは鎌倉後期の特徴。鎌倉初期は地斑が鎬にかかる。

 

4号刀:約76cm、反り1.2cm。 昨年の「京のかたな展」にも出品した刀。健全な刀で2尺4、5寸で慶長よりは寛永の姿。慶長?寛永60年間で寛文までの中間の姿。元先開き中切っ先詰まる。初代は沸強く帆かけ丹波と言われる。殆ど当たり。

 

5号刀:約78cm、反り2.5cm。2名が一ノ札当たり。これはまだ復古刀の時代。薩摩札も悪くない。正義は丁字が7、8割、相州伝は2割。相州伝は古名刀に化けたため少ないと言われる。脇差、短刀は備前伝、相州伝が半々。直胤と迷った場合、正義は二段反りが特徴。正義は元先開くが子の正守は元先開かず切っ先延びる。

90点が3名、85点が2名でお正月賞品の鐔、目貫の他、昨年逝去された会員から寄贈された、多くの貴重な刀剣書籍を全員が頂きました。

【執筆・塾生:川嵜太久馬様】

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