平成30年第6回の霜華塾が12月2日に開催されました。有楽苑の紅葉が丁度、見頃でした。 今回は重要美術品の青江助次の小太刀、特別重要の千手院為近と珍しい御刀を鑑賞いたしました。
1号刀は1尺8寸ほどの小振りの小太刀ながら、身幅広く、猪首切先、中間反りの鎌倉中期の古青江の太刀姿となっている。小沸え出来で直刃調なので、来に似ているが杢目の地金に澄肌があるので青江と見るべき雲のいわたが直刃にあるのも見どころのひ とつ
2号刀は鎌倉中期の優美な太刀姿の千手院で現存数が少ない。鎬が高くて広く、大板目の柾ごころの地 金に食い違い刃、二重刃、小互の目を交え、掃き掛け帽子となっている。
3号刀は切先が延び、やや長寸で幅広の南北朝期の 備前刀であるが、鎌倉期の姿を残している。倫光はのたれ刃が多いが、この太刀は独特の片落ち互の目 で尖ったところがある。板目肌に乱れ映りが顕著で、差し裏に剣巻き龍の彫あり
4号刀は慶長新刀の初代康継で、がっちりした無骨な姿である。鎬は柾が顕著で鎬幅がやや広いが、それほど高くない。同時代の忠吉や国広だと鎬が高い。のたれ刃の羽縁に砂流しがあり、たるみ込んで返りが深い三品風の帽子になっている。
5号刀は寛文新刀の法城寺吉次で虎徹に近い作風となっている。小沸え出来、匂い口が深く、匂いで互の目であるが、焼き出しがない、匂い口の冴えが足らない、掃き掛けが足らないところが虎徹と違うので注意が必要である。
【執筆・塾生:福田充治様】
今回は関物及び関系統の刀と新々刀の刀を勉強しました。
今回の鑑定会は大変難しい刀が多かったです。 【執筆・塾生:川端友二様】
平成30年第4回開催 全員出席。 猛暑どころか酷暑が続く日々、くれぐれも体調にはご留意をお願いしたい。 今回は南北朝時代から新々刀までを勉強。
1号刀は南北朝時代、延文貞治ごろの平脇差、短刀の姿。 備前物への入札があったが、備前の映りとは異なる沸映りに着目し、山城物と見たい。 一の札で当たりはわずか2人。 信国は応永備前を思い浮かべる人が多いが、南北朝時代にもいることを忘れがち。 長谷部、貞宗への入札も見られた。 3号刀は、江戸法城寺一門。 代表格の正弘と見れば合格。 吉次は虎徹に似ているが互の目の違いを覚えておくべし。
5号は見事な彫りから信秀の入札も見られたが直勝などの天保ごろの姿と嘉永以後、清麿一門が活躍する時代との姿の違いを覚えたいと意志があり学ぶ意欲が表れている。 向上していますね。
(三伏に 細川拝し 涼とす) 詠み人=瓢戸斎 【句のエピソ−ド】 日々酷暑の中、細川主税佐源正義の作、拝見して冷ややかな固く澄みきった新々刀特有の地肌みて、ふと涼風を感じました。
五月晴れ、間もなく梅雨入りの季節。 今回は鎌倉期、南北朝期、薩摩刀について学んだ。
1、2号刀は、備前とは異なる丁子、焼き頭が揃う点などを見て山城物と見たい。 3号刀は、切っ先が伸び、身幅広い南北朝、延文貞治の太刀姿。兼光、長義などに比べるとやや精妙さに欠ける点などを捉えたい。5号刀の正照は、伯耆守正幸の弟子で師の正幸と同様の作風。左行秀などと見た入札があった。正照は滅多に見る機会がないが、薩摩刀の特徴を捉えて正幸と見れば十分。
今回の和歌 (山城の 頭が揃う 丁子焼き 雁股見ゆる 鉾の幟て) 詠み人=瓢戸斎 【句のエピソ−ド】 古雅な太刀・来国行・国俊を拝見して、
1号・2号・3号・4号刀は当り、同然ご入札。 5号刀は3名当り、ソボロ助広は希少であり鑑賞する機会はまず少ないことから、体配などから祐定の札有。 6号刀徳勝のご入札もあり。
第2回霜華塾開催日は、暖かく桜の開花3分咲き。 犬山城にも沢山の花見見物でにぎわっていました。 (幽いうと ゆれる夜桜 春の風) 【句のエピソード】 肥前刀(2号刀)の地金(小糠肌)は幽邃で美しかった。 鍋島藩の藩業のお抱え鍛冶です。
平成30年第1回。 懇親会を交え、鎌倉期の太刀などの名品を鑑賞。
1号は古一文字、古備前の札多し。景秀は光忠弟とも伝わる。鎌倉中期よりやや古い。伊達政宗所持「くろんぼ斬り」が有名だが作風がそれとは異なる。古一文字、古備前の見方も良いが、光忠の初期作として極められれば十分。 2号は前回も鑑定刀として出たが、他の備前物の入札が多かった。 上位3人が90点で同点。入札内容で天位、地位、人位を選定した。講師・霜華塾代表から賞品を贈呈。
今回の和歌 信長も 好みし太刀の 光忠は、寒さ忘るる 地刃の冴えなり 古(いにしえ)の 武士(もののふ)偲ぶ、太刀を見て 雪と見紛う 沸匂かな 詠み人=瓢戸斎 【句のエピソ−ド】 織田信長は光忠を愛し、28振りから33振り所持していたと伝えられている。 信長の華やかな好みが刀剣にも表れている。